海外療養費制度とは、海外で病気やケガをして現地で医療機関にかかった際に、一定の条件を満たすと健康保険などから治療費の一部が払い戻される制度です。相次ぐ不正請求の事件以来、海外療養費の給付条件が厳しくなった昨今でも、不正請求は後を絶ちません。 また、悪意がなくとも日本の診療報酬制度に算定すると大幅に請求金額が変わる場合もあります。海外赴任者や旅行者、また国内に住む外国人が増加している今、海外療養費申請書をしっかり精査することは、医療費削減において必須です!!
外国人による「出産育児一時金」の不正受給疑惑!
来日して短期間しか保険料を支払っていないのにもかかわらず、50万円の出産育児一時金を受給する外国人が増えています。海外の病院に出産の照会を実施した結果、そのような事実はないとの回答を得た事案もありました。しかも、海外出産の場合でも出生証明書さえ出せば給付されるので、偽造するなど不正を働く外国人も少なくありません。
母国で治療し日本に請求!?架空請求も横行
日本の健康保険に加入している外国人、母国に帰国して治療を受けても、日本から見れば「海外」扱いになるため、かかった医療費を請求できます。そこに目を付けた外国人が、領収書を偽造して申請するケースも少なくないようです。住民票こそ日本にあれば、実態として日本に住んでいなくても母国で治療を受けるたびに海外療養費が請求できてしまうのです。
歯冠修復治療で請求が1/3になるケースが多数!
海外療養費申請書点検を実施する中で、いちばん過誤がでやすいのが虫歯治療です。歯冠修復治療をした場合、保険内の治療は使用素材がプラスチィックか金属ですが、海外では医師に何も告げなければ、自費である陶材やゴールドが使用の冠になります。補綴物の書類を判断することで、差額が大きいケースだと50万円の請求が1,500円になることもあります。